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全体最適と部分最適。トラックGメンに伝えた本音

この前、トラックGメンが会社に来られた時に、僕はこう伝えました。

「あなた方がやりたいと思っていることは“全体最適”ですよね。
でも、荷主さんや物流倉庫、運送会社…みんな実際に考えているのは“部分最適”なんです。
それを組み合わせて全体最適にしようとするなら、どこかが妥協しなきゃいけないんですよ」

そう話したら、トラックGメンの担当者はうなだれていました。
――正直、現場を知っている人間なら、うなずかざるを得ないと思います。


■ 部分最適とは?

荷主は「自分の物流コストを下げたい」。
倉庫は「自分の作業効率を上げたい」。
運送会社は「自分の稼働を守りたい」。

それぞれが自分の立場でベストを追いかけている。
これは自然なことだし、責められることではありません。


■ 全体最適とは?

国や行政が目指すのは「物流全体の効率化」や「社会全体の安全」。
つまり「部分最適を組み合わせて、全体として効率を最大化しましょう」ということ。

でも現実には、部分と部分を合わせると必ずズレが出る。
誰かが妥協しないと全体最適にはならない。
その妥協を誰がするのか?そこを正直に示さなければ、机上の空論になってしまうんです。


■ 都心部と過疎部の例

都心部は便利な分、コスト増を受け入れる必要がある。
過疎部は不便な分、サービス縮小を受け入れる必要がある。

これを「全部平等にしましょう」と言い続ける限り、誰も納得せず、現場に無理が押し付けられる。


■ 僕が思うこと

「全体最適」を掲げるのは良い。
でも本気でやるなら、どこを妥協するか、どこを守るかをはっきり国が示さないといけない。
「全部守ります」「全部平等です」というきれいごとを言い続けるのはもう限界です。

現場にいる僕ら運送会社は、法律を守りたくないんじゃない。
守れる部分は守る。事故を減らす、体調管理をする、そういうことは当然やる。
ただ「距離」や「インフラ不足」といった物理的な問題を時間で縛られても、守れないことがある。

制度やルールを作るなら、人間の行動や現場の現実に合わせた設計が必要だ――。
僕はそう思っています。